「データ分析力」は部長への昇進条件。ワークマンの取り組み
ワークマンは、全国にチェーン展開する作業服のお店です。
最近では作業服のみではなく、ワークマンプラスなどの業態で、アウトドアウェアやカジュアルウェアも販売するようになり、順調に業績を伸ばし続けています。
自社のポジショニングが絶妙で、成長戦略の本などで具体例として使われそうな程、きれいに市場拡大と既存事業の水平展開が上手くハマっている印象を受けます。
そんなワークマンの業績を支えるのが、データを重視した経営であるという記事が日経クロステックにありました(有料会員向けの記事になります)。
突出したデータサイエンティストは必要ない。その代わり…
データをどう重視しているのかの一つのポイントとして、前掲の記事では、人材育成が挙げられています。
「当社に突出したデータサイエンティストは必要ない。その代わり、全社員に最低限のデータ分析力を身に付けてもらう。だから底上げするための人事制度や研修を数多く用意している」
ポリシーとしては、スキルの高いデータサイエンティストが一人いるよりも、全社員が最低限のデータ分析能力を身に着けることが重要というものになります。
データサイエンティストが必要であれば、外注すればよいのです。それよりも、組織風土としてデータを軸に議論が出来る素地がある方が、社員一人一人にノウハウも溜まりやすくなりますし、長い目で見てよい効果が生まれるでしょう。
社内の公用語として英語を採用した楽天が、今度はプログラミングの能力を求めるという記事もありました。
非常にハードルは高いと思われますが、考え方としてはワークマンと似ていると思います。
突出したスーパープログラマがいなくても、アルゴリズムを考えたり、手順をシステムに落とし込むための論理的思考力を多くの社員が持てば、無駄な業務プロセスの削減などに一定の効果が出るはずです。
ワークマンの取り組みが素晴らしいと思えるポイントは、より具体的なカリキュラムを用意して提示している点です。
しかも段階的に習得することが出来るよう、職種によっての目安が設けられています。
部長職以上へ求められるハードルは高いようですが、昇進要件の一つとして明示されている分、納得性は高いのではないでしょうか。
「データ分析力」は部長への昇進必須条件
人事制度として象徴的なのは、部長への昇進条件。「データ分析力」を必須としている。データ分析のスキルがなければ、組織を率いる資格がないというわけだ。
転職の笑い話で「あなたは何が出来ますか?」という質問に「部長なら出来ます」と答えた人がいる、というものを聞いたことがありますが、ワークマンにおいて(他の組織もそうでしょうが)それは通用しないようです。
これは完全に私の主観ですが、いわゆる「偉い人」程、ゲーム理論のような判断の前提条件がお膳立てされていれば、それを元に責任を持った決断をするのは得意な一方で、プログラミング的思考、そもそもデータを軸にした思考が苦手な方が多いように感じています。
以前のエントリで、「経営者こそデータリテラシが必要」と書きましたが、そのような主観によるものです。
「データ分析力が昇進の必須条件」というのは、かなり思い切った施策ではありますが、今後の経営においては必須のスキルであると思います。
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