ビジネスマンは「調べもの」に毎日1.6時間も費やしている?|改善のためのヒント

先日、オウケイウェイヴ総研から下記の調査資料がリリースされました。

全国の会社員 1,000 名を対象にした「社内業務」に関する上記のアンケート調査によれば、なんと毎日1.6時間もの時間を「調べもの」に費やしているそうです。

仮に8時間勤務とすると、約20%の時間を割いていることになります。

これを賃金に換算すると、日本全体で 1 日当たり約1,057 億円相当が「調べもの」に充てられているとのことです。「1日当たり」です。これを損失と見れば、ものすごい損失だと言えます。

「調べもの」は多くの仕事において直接的に利益を生み出す行為ではないため、充てる時間は短いに越したことはありません。

「調べもの」を減らすために必要なもの

アンケートでは、「調べものをする上で職場に望むこと」という設問も用意されていました。

回答のうち、上位2つは「社内ツール・システム関連の整備」と「社内の情報共有体制の整備」となっています。裏を返せば、それらが未整備であるが故に「調べもの」に時間を要しているとも言えます。

では、どうすればよいのでしょうか。「ツール」と「体制」、二つの面から考えてみたいと思います。

1.「調べもの」を減らすためのツール

「調べもの」といっても、調べる対象によって大きく二つに大別できます。一つは「組織内情報」もう一つは「一般的な情報(組織外情報)」です。後者は通常、検索エンジン、書籍、ライブラリサービス、などを使って調べます。恐らくこのことに大きな不満はないと思われます。

ところが、前者の「組織内情報」どうでしょうか。

「組織内のノウハウ」「過去に作成した資料」「この案件について詳しい人」「特定の顧客に関する取引履歴」「営業業績資料」など、電子データに限らず、人、書類、目に見えないノウハウなど、多岐に渡ります。

それらは当然ですが、一般的な検索エンジンではフォローしきれません。結局自分の記憶や人の記憶を頼りに必要な情報にたどり着く他ありません。時間を要すると思います。結果、多くの時間を「調べもの」に費やすことになってしまいます。

情報共有ツールの導入 Microsoft Office365 Teams

それを解消するツールの一つとして、クラウドサービスであるMicrosoft Office365を紹介します。Office365には非常に多くの機能があるのですが、その中の一つに「Teams」があります。Teamsは、簡単に言えばグループチャットツールです。「Slack」をご存じの方も多いかもしれませんが、Slackにも似ている部分があります。

チャットツールやSNSの特徴の一つとして、情報だけではなく、人と人とを繋げる効果があります。「この案件について詳しい人」といったいわゆるノウハウではなく、「Know Who(ノウフー)」が提供されることがしばしばあります。これにはTeamsに参加しているアクティブユーザが多ければ多いほど効果が期待できます。

またTeamsにはドキュメント共有機能もあります。

ブラウザ上でチャットをしながら、リアルタイムにWord、Excel、PowerPointのファイルを共同編集することも可能です。わざわざメールに添付したり、共有フォルダのファイルを共同編集したりせずとも、安全にリアルタイムに共有することが出来るのです。

さらに、Exchange Online や Sharepoint Onlineを使っている場合は、メールなどの情報も含め、業務に必要な情報を全てOffice365の同一プラットフォームに置くことが出来るため、全文検索で必要な情報にたどり着きやすくなります。

このように、Office365およびTeamsには、「調べもの」に要する時間を大幅に減らす可能性を秘めていると言えます。

ただし、これらは飽くまで単なるツールにしかすぎません。次に述べる体制を整える必要があります。

2.「調べもの」を減らすための情報共有体制

ツールの導入はハッキリ言って簡単です。むしろ、体制づくりが一番難しい部分だと感じています。

アクティブユーザを増やすことが重要ですが…

「Know Who」が重要だと書きましたが、そもそもTeamsにアクセスしているスタッフが少なければ効果は出ません。人の性質として、「これまでと違うやり方を嫌う」という傾向がありますが、Teamsのようなツールは頭では便利だと理解できるものの、これまでのやり方、例えばメールやLINE、電話での情報共有とは異なるアプローチのため、すんなりと受け入れられる方は少数派になるでしょう。

また、情報共有については、「俺には必要ない」という方も出て来ます。特に、組織内でノウハウを持っていたりする人ほどそういう傾向が強いです。考えてみれば当たり前ですね。自分はノウハウを持っているので、他人から教わる必要性は低いですし、逆に自分のノウハウを同じ組織内とはいえ他人に提供するには抵抗があるのも理解できないことはありません。要するに「俺に何のメリットがある?」ということです。

そういった状態が重なっていくと、せっかくツールを導入したとしても、アクティブユーザが増えず、魂入らずの状態で必ず形骸化します。

アクティブユーザが増えることで情報の流通が活性化し、横断的に検索できるようになることで「調べもの」の労力が減るはずなのに、肝心なTeamsという場が抜け殻になれば誰も寄り付きません。情報がないから誰も寄り付かない、誰も寄り付かないから情報が集まらないという悪循環になります。

トップダウンとボトムアップでのアプローチ

悪循環にならないようにするには、トップダウンでのアプローチが必要だと考えます。トップも「調べもの」の重要性を認識し、自ら旗振り役となって情報共有を推進する姿勢を見せることです。

その為には、Teamsを始めとした情報共有ツールの概要を理解し、最終的にはどうしたいのかのビジョンを提示しなければなりません。

一方、トップダウンだけでは、ビジョンは示せても残念ながら具体性が伴わない場合も往々にしてあります。したがってトップダウンと並行し、現場主導のボトムアップでのアプロ―チも必要です。

その中心になり得るのが、前述のアンケートで、「社内の情報共有体制の整備」を望んだような方々です。課題を感じているメンバーは必ず居ます。不満だけを持っているのではなくて「何とかしたい」という前向きな意思を持っている方をピックアップし、コアメンバーとして情報発信をしてもらいます。最近だとエバンジェリストという表現もありますが、伝道者としての役割を担ってもらうという訳です。貢献者には何らかのインセンティブを付けるのもよいでしょう。

トップとボトムの両側から攻めることは、これまでにない情報共有体制を作るのに有効です。

情報が無いから誰も発信しないという悪循環の話を書きましたが、逆に情報が集まることでさらに集まりやすくなるという好循環に転じることも可能です。

まとめ

情報共有を促進し、「調べもの」の時間を減らすには、ツールと体制(運用)の両輪を備える必要があります。ツールと体制は相互に補完するような役割を果たすものなので、どちらか一方だけではよい効果は望めないでしょう。

ツールがあっても使う人がいなければ何も起きませんし、体制が整っていてもそれを補うツールが無ければやはり何も起きません。

両方がそろった時に、初めて効果が出てくるものだと思います。

ITと経営に関するお悩みはありませんか?

ITに関連する経営課題についてどんな内容でもアドバイス可能です。
お一人で悩まれずに、些細なことだと思われることであっても、お気軽にご相談ください。
もちろん、お問い合わせメールへは無料で対応いたします。