情報共有のセカンドステップ 「電子データの7つのメリット」を理解する
本エントリーは単体でもお読みいただけますが、下記エントリーの続きのような位置づけになります。
今回もメタ的・概念的な話になります。
情報共有というテーマで文章を書き連ねていますが、情報共有のための具体的なツールの選定などに入る前に、前回挙げた「情報の属性」の他、もう一つ「電子データの7つのメリット」というものを紹介したいと思います。
私が掲げる情報共有とは、暗黙的に「電子的に共有する」ということを前提としています。
書類には書類のメリットがありますが、電子データにはその書類のメリットを大きく上回るメリットがあるためです。
今回は、それを「電子データの7つのメリット」という形で紹介します。言われてみれば当たり前の事柄なのですが、敢えて言語化してみました。
世に出回っているITツールは、ほぼこれらのメリットを活かすためのツールと言えます。
これらのメリットは、言ってみれば普遍的なものであり、今後新たなサービスや概念が出てきたとしても、マッピングして整理するのに役立つでしょう。
これらを踏まえてツールの選択をすることは、意思決定のムダ・ムラを省くことにも繋がると思います。
この記事の目次
電子データの7つのメリット
前置きが長くなりましたが、電子データには以下の7つのメリットがあります。言われてみれば当然と思われるかもしれませんが、これこそが電子データが紙より優れているポイントになります。「物理的な制約を受けにくい」ということにも集約されるかもしれません。
- すばやく伝達される
- 容易に複製できる
- 検索できる
- 省スペース
- 計算が早く正確
- 同時にアクセスできる
- アクセス制御ができる
1.すばやく伝達される
ネットワークに接続されていれば、情報は一瞬で伝達されます。手紙よりも電子メールやメッセンジャーの方が圧倒的に早いです。物理的な媒体に縛られないために実現される、電子データの利点の一つです。
2.容易に複製できる
書類もコピーや写真で容易に複製できますが、電子データもクリック一つ、コスト0で複製出来ます。複製することで共有が容易になります。
セキュリティ上のリスクや版の管理など、別の問題も出てくるのですが、ここでは電子データの強力なメリットとして挙げておきます。
3.検索できる
検索性も大きな利点の一つです。ファイリングされた書類の中から目当ての書類を一枚一枚めくりながら探すというのは至難の業ですが、電子データであれば、膨大なテキストデータの中から所定のキーワードで一瞬で検索出来ます。
4.省スペース
省スペースという利点もあります。書類であればキャビネットを占有してしまうような膨大なデータであっても、小さなディスク一つに収まってしまいます。
クラウドサービスを使えば、省スペースどころか、無スペースも実現出来てしまいます。
5.計算が早く正確
数値化されたデータであれば、一瞬で四則演算したり、集計したりすることが出来ます。対象となるデータの件数が増えれば増えるほど、このメリットは大きくなります。
6.同時にアクセスできる
これも書類にはないメリットです。
一つのファイル・データであっても、電子データであれば、同時に複数人で参照することが可能です。書類だと、一人が利用していれば、基本的に他の人は利用できません。
7.アクセス制御ができる
電子データであれば、アクセス制御が出来ます。書類だとパスワードを掛ける、といった運用も出来ません。どうしても、金庫やキャビネットに保管して鍵を掛けるといった物理的な対応になってしまいますので、利便性が下がってしまいます。
電子データのメリットはデメリットより大きい
以上、電子データのもつメリットを挙げました。もちろん、裏を返せばデメリットになる点もあります。
例えば一瞬で伝達されるが故に「『炎上』しやすい」「ウィルスも拡散される」といったものや、複製が容易だからこそ「機密情報を持ち出しやすい」といったデメリットです。
ただ、それらを踏まえても、圧倒的にメリットが大きいと感じています。
デメリットに気を付けながら、これらのメリットを上手く引き出して情報共有を進めることは、組織の生産性に貢献するものと考えます。
電子データのメリットを活かしたITツール
一般的に、ITツールというのは、これらの電子データのメリットを活かすために作成されています。
例えば、メールやグループウェアであれば、「一瞬の伝達」や「複製」、「同時アクセス」というメリットを実装したものですし、検索エンジンであれば、文字通り電子データの「検索性」のメリットを実装したものとなります。
「ITツールの活用が上手く行ってない」という組織を見ると、これらのメリットの実装方法が部分的なもので止まっているパターンが多いです。
例えばペーパレス化を進めるために、手書きの契約書をスキャンして保管しているが(省スペース・同時アクセス)、インデックスデータを付けていないため、またはOCRの精度が低いため検索性が弱い、といった例です。
これだと折角の電子化が中途半端に終わってしまっています。ITツールを上手く活用するには、7つのメリットを意識し、複合的にカバーするという視点が必要です。
一般ユーザーはそこまで意識する必要はないと思いますが、少なくとも意思決定に携わる方や、情シス担当者は意識しておいて損はないはずです。
まとめ
今回も概念的な話になりました。当たり前と言えば当たり前の話なのですが、敢えて言語化してみました。
前回の「情報の属性」と今回の「電子データの7つのメリット」を押さえておくことは、情報共有などのITツール導入の際の選定プロセスに役立てられるかと思います。
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