【追記あり】【2019年度】IT導入補助金の最新情報【上限450万】
中小・小規模事業者がITツールを導入するにあたって、「IT導入補助金」という制度がありますので、今回はその解説をいたします。
この記事の目次
IT導入補助金とは何か?
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者を対象とした補助金で、ITツールの導入にかかる費用を、国が半分補助してくれる制度です。
過去2年実施されていましたが、2019年度も実施される模様です。
予算としては、「中小企業生産性革命推進事業」という1100億円の枠組みの中の、「サービス等生産性向上IT導入支援事業」という位置づけになっています(※下記PDF参照)。
monozukuri1901182019年度版 IT導入補助金の補助対象金額
2018年度は、補助される金額の上限は50万円でしたが、2019年度は上限450万円に拡大されるようです。
補助率1/2なので、導入費用総額900万円以内であれば、最大450万円補助されることになります。
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2018年度の上限50万円に比べ、大幅に引き上げられました。
2018年度は、公募が3次まで実施されており、予算の消化状況が芳しくなかったことが見てとれます。
補助上限が50万円ということで補助の絶対額が少ないことから、実際にIT導入を検討する事業者にとっては使い勝手が悪かったのかもしれません。
それを踏まえてか、2019年度は上限が引き上げられたと思われますが、その反面、採択事業者数は少なくなるため、2019年度は2018年度に比べ、競争率が高まり採択率が低くなることが予想されます。
恐らくですが、公募の回数自体も少なくなると思われるので、利用を検討する場合は、直ぐに申請した方がよいでしょう。
補助対象となるITツール
例年通りのルールであれば、事前に登録されたITベンダの製品・サービスの中から選択することになります。
参考までに2018年度のITツール選定ナビをご覧ください(下記)。
業種・業態、機能的要件、オンプレミス版(パソコンやサーバにインストールして利用するもの)やクラウド版(インターネット経由で利用するもの)など、多くの条件から絞り込むことが出来ます。
ただ、実態としては、中小事業者が能動的にツールを探すというよりも、ITベンダが営業をして補助金を紹介する、といった流れが多いようにも思われます。
補助申請の要件・申し込みの方法
組織の要件:中小企業・小規模事業者であること
中小企業・小規模事業者の要件に合致していることが必要です。下記は中小企業庁の定義になりますが、補助事業によって定義が異なることがありますので(医療機関や組合なども含まれることがあります)、詳細はIT導入補助金の公募要項が公開されたときに調べるとよいでしょう。
申請対象ツールの要件:前述の対象ツールを購入・利用すること
登録事業者でないITベンダーのツールやサービスは利用対象外となります。例えば、「自社オリジナルの業務システムを構築する」というのは、要望としては多いかもしれませんが、IT導入補助金では賄うことが出来ません。その場合は、別枠の「ものづくり補助金」を申請した方がよいでしょう。ただし、申請の難易度、採択のハードルはぐっと上がります。
また、2019年度からは、IT導入補助金での「ホームページの制作」については除外される模様です。
業績上の要件:生産性伸び率を2.0%向上
IT導入により、生産性の伸び率を前年対比で2%以上向上する、というもの要件になります。
生産性に関しては、「粗利益(売上-原価)/(従業員数× 1 人当たり勤務時間(年平均))」で計算します。
ただ、この数字に関しては、景気や市況にも左右されることの方が多いようにも思われます。要するに、「ITツールを導入したから生産性が伸びた!」というような、因果関係の結びつけが困難でありますが、要件としては、とりあえず生産性向上に注目しています。
その他
反社でないことなど、いろいろ要件が出ることがあるので、公募要項の確認が必要になります。
申込の流れなど
対象となるITツールのベンダ経由で申し込みを行います。2018年度は「おもてなし認証規格」を取得していることで加点されていましたが、2019年度は申し込みの流れを含め、現時点ではまだどうなるか分かりません。
IT導入補助金利用事の注意点
ツールありきの導入はNG
「補助金がもらえるからツールを導入しよう」というのはNGです。
まずは、経営上・業務上の課題・要件をキチンと洗い出し、その改善に資するITツールがあれば利用を検討する、というのが正しい道です。
中には、「今なら半額で導入できますよ!」という営業をうけるケースもあるかと思います。それが悪いことだとは言いませんが、そういう場合においても、費用対効果の検討は必須です。
半額だからといって飛びつくのは、将来的に不良資産を生み出すことにもつながりかねませんので、限られた申請期間の中で慎重な検討をしなければなりません。
ベンダのサポートはどこまでか
ITベンダのサポートも重要なポイントです。ITツールを導入し正常に運用するには、業務フローの変更や、担当者のスキルアップが必要なケースも少なくありません。
そこで、ITベンダがどれだけサポートしてくれるかが重要になるのですが、それがセットアップと簡単な操作説明で終わってしまうなどして、実運用が置き去りにならないように注意しましょう。
補助対象となるのは、ライセンス料、サービス利用料だけでなく、コンサルティング等の「役務」も含まれますので、事前の業務分析や事後のサポート体制も重視すべきです。
クラウドサービスの場合は1年間の利用料金
「月額いくら」のクラウドサービスの場合、対象となるのは1年分の費用に限られます。
それ以降については全額自腹で負担する必要があるため、ランニングコストの見積もりは慎重に行いましょう。
費用が支払われるのは導入が終わってから
補助金は採択されたら直ぐに振り込まれる訳ではありません。
流れとしては、まずIT導入補助金の利用を申請し、採択後、ITツール導入を検収し、ITベンダに費用を支払い、補助金の振り込み申請をした後に振り込まれるというキャッシュバック方式なので、ITベンダへの支払いは全額自腹で行う必要があります。
金額が大きくなる場合は、資金繰りにも影響するケースもありますので、注意してください。
なお、期間内に全額の支払いが完了していることが必須なので、リースでの対応は不可となります(2018年度Q&Aより)。
最後に
IT導入補助金の制度自体は、非常に有用と思われます。
一方で、前述したとおり、「ツールありき」の導入は失敗する可能性も高いです。
適用業務を洗い出し、影響を受ける業務、部門・スタッフを巻き込んで組織として導入する必要があります。
最悪のシナリオは、「折角ツールを導入したのにスタッフが使ってくれない、使いこなせずに放置されてしまっている」というものです。
そうならないように、事前の検討はしっかりと行わなければなりません。
補助金を活用するにせよしないにせよ、IT導入に関してのご相談は随時受け付けておりますので、お気軽にご相談下さい。
2019年4月4日追記
IT導入補助金の申請スケジュールが公開されました。
一次公募は5月27日からとなるようです。また、今年度の新しい申請要件として、SECURITY ACTION宣言が必要となります。SECURITY ACTION宣言自体は簡単ですが、実効性を伴わせるには手間を掛ける必要があります。
下記の通りサポートも可能ですので、不安な方はご一読ください。
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