何故オフィスワークでカイゼン・業務効率化が浸透しないのか?

ここ数か月、縁があって製造業の経営者の方々とお話する機会をいただきました。
いずれも現場経験が長く、工場の管理については一家言ある方が多いのですが、翻ってバックヤードとなる事務所の方はどうかというと、やや問題がある、というパターンが多いのも事実でした。

いずれの企業も、生産現場においては、細かいレベルまで作業動線の効率化、整理整頓、カイゼン活動など、進んだ対応をされていたのですが、オフィス側の事務処理に関しては、あまり進んではいない、という状態でした。

しかし、考えてみれば、あるインプット(原材料)を加工・組み立てし、アウトプット(製品)を生み出す、という流れは、製造の現場でもオフィスワークでも変わりはないはずです。なのに、製造現場に比べ、オフィスワークはあまりカイゼンが進まない。

スマートな工場とは一転、事務所には、色々な書類が散乱してしまっている。

そこで、「何故オフィスワークでカイゼン・業務効率化が浸透しないのか?」を理由を2つ考えてみました。

 

1.インプット・アウトプットが目に見えにくい

まず一つ目、「インプットアウトプットが目に見えにくい」ということを挙げてみます。

基本的にオフィスワークで扱う材料は、「情報」です。売上データを加工し納品・請求データを作る、入金情報を収集し消込作業を行う、といった作業は、インプットとアウトプットが概念的には存在するものの、目に見える形でのアウトプットが非常に分かりづらい場合があります。請求書などは書類として出力されるので比較的分かりやすいですが、入金消込といったアウトプットは中々分かりづらいものがあります。

「情報という原材料」がオフィス内を常に流れているにも関わらず、工場のラインのように可視化がしにくいため、カイゼンのための取っ掛かりがつかめない、という状況になってしまいます。情報加工のための論理的な動線が見えないため、「無駄な製造ライン」がいくつもあるにも関わらず、整理が進められない。

私はそれを整理するために、よく「業務フロー」の話をすることがありますが、「業務フローの整理」はそのような見えない動線を可視化・整理するのに非常に有効です。

ところが、中小企業においては、業務フローは担当者に依存しながら自然発生的に出来上がっていることが多く、可視化されないまま「現状大きな問題なく回っているからいいか」という状態になってしまいがちです。

見えにくいこと、回っていることが最適と判断されてしまっていることがオフィスワークでカイゼンの進まない大きな理由の一つと言えます。

 

2.情報システムで何が出来るかのイメージが持ちにくい

次に、「情報システムで何が出来るかのイメージが持ちにくい」を挙げてみます。

これはパソコンやネットワークを使うことでどのような効果がもたらされるかのイメージがつかめていないということで、例えば、アウトプットが請求「書」であれば、エクセルやワードを使うことできれいな書式で出力できることは明らかなのですが、せっかくのOfficeソフトをワープロ用途でしか使っていないケースも非常に多いです。

売上データがあるのであれば、自動的に請求書に反映する、といった仕組みはそれほど高度ではないのですが、ワープロという用途で限定してしまうと、そのような発想が出にくくなってしまいます。結果、手作業で同じ情報を何度もコピペしたり、といった業務プロセスが生まれてしまうことがあります。これを作業動線として考えた場合、非常に冗長なものになります。

情報システムを導入することは、業務フローが自動的に整理されるという大きな効果も得られます。一度入力された情報は再利用されながら製造ラインを集計・加工されて流れていく形になります。

情報システムがもらたす業務フローは、自然発生的に出来上がった業務フローと整合しない場合も多々ありますが、「情報の生産ラインの最適化」という効果が出てきます。

「業務フローのカイゼン」というテーマでも相談を受け付けておりますので、お問い合わせください。

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