「ひとり情シス」は「セルフ20%ルール」でスキルアップ

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先日、上記の記事を読みました。

要点をまとめると、

  • 中小企業には、「ひとり情シス」が多い。
  • 「ひとり情シス」とは、組織内の情報システムの運用を一手に引き受ける者である。
  • 中小企業は人員を割けない場合も多いので、少ない要員にICT関係の仕事が集中し「ひとり情シス」が生まれやすい。
  • 「ひとり情シス」は、情報システムが重要な経営インフラであるにも関わらず、周囲の理解が得られず悲惨である。
  • しかし一方で、「ひとり情シス」は自分の裁量で改善できる部分もあるので、やりがいも見つけられる。

といった内容です。

私自身も、前職では「ほぼひとり情シス状態」だったので、記事の内容には大いに共感できます。

「ひとり情シス」が手を付けられるところは沢山ある

私の前職は、営業拠点数が十数か所、社員150名前後の一般企業の情報システム担当者でした。

十数か所の営業拠点には、職務としての情報システム担当者は配置されておらず、トラブルが発生した際は、私の所属していた本社部門に連絡がくる、という状況でした。
連絡の内容は、「パソコンが壊れた」「ネットワークがつながらない」「Office等のソフトウェアの使い方教えて」「システムが使いにくい」「こういうことをしたい」、といったもので、トラブル報告からヘルプデスク、クレーム対応、改善要望まで、冒頭に紹介した記事のように多種多様でした。

さすがに一日中対応しっぱなしという訳ではありませんが、業務パソコンやOA機器の故障、ネットワークトラブルなどが発生すると、直接業務に支障がでるため、最優先で対応しなければなりません。
ですので、何らかのトラブルが発生すると、自身が持っている進行中のタスクが中断したり、後ろにずれこんだりしてしまいます。

しかし、トラブル対応はもとより、ヘルプデスクも一人ひとりがセルフ対応出来れば、本来存在しなくても良い時間のはずです。
そういった時間を極力減らし、改善要望対応や新規サービス創出の時間を増やしたい、という思いがありました。

そこで、そのそもトラブルがより発生しにくい仕組み、発生したとしてもより迅速に対応できる仕組みが必要だと考えました。

例えば、差しさわりのない範囲で言うと、業務用端末がデスクトップPCだったため更新のタイミングでノートPCに置き換えたり、クライアントPCのハードディスクに保存される情報を減らし、個人の業務が特定の「マイ端末」へ依存することを減らしたり、といった対応です。
また、サーバやネットワーク構成で、直列型のノードの故障率を減らすために、削減してもかまわないノードを洗い出して組み替えるなど、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークを含めた対応も手がけました。

話が少し脱線しますが、ノートPCは、消費電力や故障率、占有スペースの面で、デスクトップPCより優れています(故障率についてはどこかに資料がありましたが失念)。通常のビジネス文書作成や、メール送受信程度の用途であれば、低スペックマシンでも十分機能します。
管理者の実務面でいえば、キッティングのスピードもデスクトップPCとノートPCでは大きく違います。組織内の専用環境をインストールして各拠点に配送する、という作業はかなり手間がかかるものですが、ノートPCにすることで、大幅な時短になります。
キッティングは、独自の初期設定も含め、お金を掛ければベンダーがやってくれますが、納期も遅くなりますし、都度発生する要件の細かな変更などを考えると、100台程度の規模であれば、自前の方が経済的だという判断もありました。

話を戻します。「既存の環境を維持する」ことは大前提です。しかし、それは必ずしも「従来のやり方を踏襲する」ということと同義ではありません。ユーザ目線で言えば、管理プロセスや構成の中身が変わっていても、利用できる機能さえ同じであれば、「既存の環境が維持されている」と言えます。

「やり方を効率化するがアウトプットを変えない(もしくは向上)」というのは、いわゆる「カイゼン活動」と同じです。ひとりでも出来るところから始めましょう。

「ひとり情シス」は「セルフ20%ルール」で時間を捻出しよう

これらだけではありませんが、さまざまなカイゼン対応をすることで管理時間だけではなく、金銭的な維持コストも大幅に減らすことが出来ます。「何に手間がかかっているのか」を洗い出すこと、「人海戦術には限界がある」ということを踏まえることが大切なポイントになります。

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自分に出来る範囲内でいろいろ工夫をすることで、「職務として与えられた時間」の構成比を自ら変えて、これまで出来なかったことに割り振る時間を捻出することが出来ます。Googleの20%ルールというものがありましたが、それを自分で、セルフサービスでやるということです。

こういう場合は、「ひとり」もしくは「自分が責任者」という立場の方が動きやすいものです。
「ひとり情シス」は、工夫の余地を沢山与えられているとも解釈できるので、自分の力を試しやすい、紹介記事にもありますが、ある意味「やりたい放題」とも言えます。

職務分掌がある程度決まっている大きな組織になると、中々そうはいきませんので、一人・少人数の方がむしろチャンスとも考えられます。

ちなみに、提供する機能を劣化させずにコスト(時間・費用)を削減する、というのであれば、経営層の理解は極めて得られやすいです。当然「何故そんなことが出来るのか」「何故今までそうしなかった(出来なかった)のか」というポイントを押さえて丁寧に説明するプロセスは必要ですが。
そうして捻出した時間やお金を、さらに社業に貢献するための「新たな案件」に振り分けるというのであれば、まず文句は言われません。

私の例で言えば、「新たな案件」としてフロンエンドにエクセルを使い、業務システムの情報を参照できるファイルを配布したり、他システムへデータを自動連携するデータコネクタを内製したりなどの取り組みをしてきました。

「ひとり情シス」の方はまずは、「無くても良い時間」を減らす工夫をして、新しいことに着手することが自分の価値、というテーマ付けをしてみるのはどうでしょうか。

そうすることで、モチベーションの維持とスキルアップが出来ると思います。

ただし、前提となるのは、「自分で手を動かせる」ということです。サーバを立てたり、SQLを直接たたいたり、簡単なプログラムやシェルスクリプトを書いたり、といった「実作業」が自分で出来なければ、構想の評価も出来ません。その実作業を避けずに真正面からぶつかっていけば、評価も後からついてきます(きっと)。

 

 

次のエントリでは、「ひとり情シスもいない場合はどうする?」という経営層向けの話題を書いてみようと思います。

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