手抜きのススメ|前向きな手抜きは積極的にしてよし

先日、下記の記事を読みました。

VUCAの時代においては、個々人の生産性向上が重要になるという記事です。

VUCA(ブーカ)とは?

VUCAという言葉は上記記事を読んで初めて知りました。VUCAの定義ですが、下の記事から引用します。

VUCAとは、

「Volatility」(変動性)
「Uncertainty」(不確実性)
「Complexity」(複雑性)
「Ambiguity」(曖昧性)

の頭文字を取った言葉で、あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、想定外の事象が次々と発生するため、将来の予測が困難な状態を指す言葉です。

VUCAの時代においては、ビジネスサイクルが従来より短縮されるため、短い時間で成果を出さなければなりません。

生産性を上げるには

冒頭の記事において、生産性は「成果/時間」と簡略化して定義されています。直接部門においては、成果は売上と置き換えても良いかもしれません。

トータルの生産性を上げるには、分子を伸ばすか、分母を小さくするかの二通りの方法があります。記事では分母に注目していますが、私も同様に分母に注目してみたいと思います。というのも、分子を伸ばすのは外部要因が多分に関連しますが、分母に関しては比較的自身の工夫で何とかなる面も多いからです。

時間を短縮するということ

業務に費やす時間を短縮することは上記で定義した生産性の向上に直結します。では、どうすればよいのか、私が心掛けているポイントをいくつか紹介してみたいと思います。

二度手間を無くす・情報は共有する

一つ目は、「二度手間を無くす・共有する」です。特にデータのインプット業務においては、二度手間が発生しがちです。例えば、手元のエクセルファイルにデータを入力し、情報を整理するという業務をそれぞれが行っているケースもあります。同じデータソースに対し、各人が微妙に違うマイフォーマットで整理するというのは、無駄以外の何ものでもありません。そういう場合は、インプット先をデータベース化するなどして一本化し、共有を図ることで個々人の時間が短縮されます。

以前、「手書き伝票をエクセル化し、それを印刷したものに別の人が手書きで追記し、それをさらに別の人がエクセルにデータ化する」という魔業務フローを見たことがありますが、そういったものは生産性を下げる大きな要因です。

実質的に同じことを複数人が行っている、という状況は情報を共有することなどを通じて積極的に省いていくべきでしょう。

コミュニケーションコストを減らす

業務にかかる時間として、「会議の時間」も無視できません。

「一日中会議で埋まってしまい、生産的な活動が殆ど出来ない日」はありませんでしょうか。特にプレイングマネージャのような、マネジメント業務の他、自身も現場仕事を担う方にとっては、会議の時間は大きなロスになります。

「無駄な会議はしない」「減らす」「やるとしても時間を短縮して行う」という視点で取り組む必要があります。

会議を効率的に回すことに関しては、下記を参照下さい。

また、「出張」も時間のロスになります。中には移動時間で仕事をバリバリ片付けていく方もいらっしゃいますが、自分に関して言えば、移動中はどうしても眠くなるのであまり仕事が出来ません。可能であれば、出張も極力減らし、業務に注力出来る時間を確保することが重要です。「どうしても自分が行かなくてはならない場合」以外は行かないように済ませましょう。

対面のコミュニケーションが不要だというのではありません。ただ、限られた時間の中で上手く回すという視点が必要ということです。

コミュニケーションコストを減らす有用なツールとしては、社内SNS(Yammer、Chatter…)や、Slackなどのコラボレーションツールがあります。出張などに関しても、実際はZoom等のツールで済む場合もあります。

実際、ツール等で事前にコミュニケーションが取れていれば、対面した時のコミュニケーションの密度が濃くなります。電子的なコミュニケーションと対面のコミュニケーションは対立する概念ではなく、補完的な関係にあると言えます。

ツールを使う・ツールを作る

特に単純作業などにおいては、ツールを上手く使うことで大幅な時間短縮になります。最近だとRPAなどがありますが、プログラミングの素養があれば、シェルやVBAなどを用いて定型作業を自動化する、といったように自らツールを作るというアプローチも可能です。

ある業務システムから出力されたデータを加工して、別の業務システムにインポートする、といった作業は手作業でやるよりもツールを使った方が圧倒的に早く終わります。RPAだと多額の投資が必要になりますが、プログラムを自分で組めれば殆ど費用は掛かりません。

ツールの活用は、特に処理件数の多い作業で威力を発揮します。人手だと1件30秒掛かる作業を、ツールだと1件0.1秒で実現出来たとしたらどうでしょうか。件数が増えれば増える程、所用時間の差は大きく広がっていきます。

前向きな手抜きのススメ

時間を短縮するということは、無駄な業務プロセスを省いたり、スピードアップすることに他なりません。

アウトプットの品質を落とさず、時間が短縮出来るのであれば積極的に取り組むべきでしょう。私はそれを「前向きな手抜き」と呼んでいます。

「手抜き工事」とは違い、単なる手抜きではなく、「品質を落とさない」というのがポイントです。業務プロセスを見直したり、プログラムを組むというのは、品質を落とさないための工夫です。

工芸品などの職人による手作業と違って、デスクワーク業務のアプトプットに関して言えば、手作業であろうが、機械的に出力したものであろうが、差はありません。「丁寧にやる」という意味は、「手作業で時間を掛ける」という意味とは違います。同じアウトプットであれば、早い方が価値があるでしょう。

「心を込めて丁寧に仕事をする」というのは、単に時間を掛ければよいというものではありません。プロセスの見直しやツールの導入で、丁寧な仕事が実現出来るのであれば、それに如くはありません。

また、逆に「時間を掛けているから丁寧な仕事である」という認識も改める必要もあります。残業が評価される組織程こういう価値観があるようにも思えます。

前向きな手抜きによって新たな時間が捻出出来れば、新たな取り組みに時間を割けるようにもなります。

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